大衆酒場ハイカラにて 外国人留学生14名と

株式会社エーアイエーは鹿児島県大隅半島のほぼ中央に位置する「鹿屋市」で、昭和44年に創業した会計事務所です。誰も本当に実現するとは思ってもみなかった外国人向け旅行企画「Visit Osumi」の記憶をつづっていきます。

2013年12月。観光庁が「訪日外国人客数が過去最高の年間1,000万人を突破した」と発表しました。政府が2003年から始め、地道に取り組んだ結果が年間1,000万人という数字を叩き出したのです。それ以来、節目、節目で発表される結果は予想を大幅に上回るもので、メディアなどでも頻繁に報じられるようになりました。 2015年あたりから、「外国人目線で見た日本」の番組などが多く企画・放送され「インバウンド」「爆買い」「おもてなし」というキーワードをちらほら耳にするようになり、外国人が「都会」に旅行に来ているという認識が、わたしたちの周辺でも「じわり」と広がりだしました。残念ながら鹿屋市では外国人を見ること自体が稀です。そういった番組を見ても、まったく身近なことではなく「都会にはあんなに外国人観光客がきてるのか!」「儲かってるなぁ・・・」「元気だなぁ」程度の認識です。そんな大隅半島に。そんな鹿屋市に。自分自身が外国人を呼び込む仕事を任されるとは思ってもみませんでした。

ちなみに、インバウンドとはマーケティング用語にもありますが、観光業界では「国内に入ってくる旅行=訪日旅行」のことを指します。2016年10月時点での推計値はすでに2,000万人を突破しています。

インバウンドが注目されてきた2013年が過ぎたあたりから、訪日外国人観光客もリピーターが増えてきました。リピートするだけの魅力が日本にあることを知り、その魅力は日本人にとっては当たり前のことだけれど、外国人から見ると「すごい」ことなのだと、外国人の生の声をメディアなどを通じて知るたびに、日本を誇らしく思える方も増えたのではないでしょうか。わたしもその一人です。 その外国人の旅行客も2003年当時は団体旅行だったものが個人旅行へとなり、主要都市の東京・大阪・京都と言わずと知れた観光都市から地方へと目が向きだしたのです。

「大隅半島」にも可能性があるのだろうか。
ましてや会計事務所に「観光」なんて。「旅行」なんて。

「観光」とは「光」を「観る」と書きます。日本の「光」に憧れて、間近で見たくて、実際に触れてみたくなって訪れた外国の方に、私たちはどんな光を見せることができるのか・・・。そんな大隅半島の魅力を考えるところから、手さぐりで2015年12月に企画がスタートしたのでした。

2016年4月(前半) 〜ターゲットは外国人留学生!

いきなり外国人を大隅半島に招いても、受け入れ側の体制はまったくといっていいほど整っていません。言葉もわかりませんし、日本との慣習の違いでトラブルになっているというニュースも耳にします。しかし、受け入れ側の体制が完璧に整うまで待っていれば、いつまでたっても形にならないのは目に見えています。このまま動かず、何もしないままで終わるのはもったいない・・・。

今回の企画は、まずは経験、そして自分たちやお客様にインバウンドが活かせるか・活かせないのか見極めることにあります。何もインバウンドの可能性は観光に限ったことではないからです。ですからとにかく「動く」こと。TV、新聞、雑誌、セミナーから知ることのできない情報は、自分たちで動いて経験しなければ得ることはできないのです。まさに百聞は一見にしかず。

そこで、日本に滞在している外国人留学生にターゲットをしぼりました。日本に半年以上滞在していれば、ある程度、言葉は理解できるでしょうし、日本の慣習にも理解があると思ったからです。それらを考慮し、参加条件、日程の選定、旅行内容を決定し、プランが出来上がりました。 プランが出来上がると同時に、宿泊業者、飲食店、見学先それぞれへ社長が提案に走り、そろった協力業者6社。大隅半島の可能性をあきらめたくない事業者が、赤字覚悟のボランティアで快くご協力くださったのです。

2016年4月(後半) 〜社長、インバウンド実践研修のため東京へ

都会の方ではインバウンドのセミナーが頻繁に行われています。その一つを社長が受講することになりました。当初、わたしの方に参加してみないかと話があったのですが・・・。いかんせん。わたしは一人旅を経験したことがありません。旅行はもっぱら会社の旅行しかいった事がありません。鹿児島空港までは行けると思います。バスででも。しかし。飛行機に一人で乗って東京に行ける自信がありません。着いてからもセミナー会場にたどり着けるかどうかも危うい・・・。そんなわけで還暦をすぎた社長が腰の痛みに耐えながら東京へ。受講したセミナーはインバウンド事業で有名な「やまとごころ」が主催するものでした。セミナー受講者に「会計事務所」が参加していることに講師の先生方もビックリされていたそうです。

 

内容は次の通りです。

  1. インバウンドビジネスの全体像を把握する
  2. 外国人観光客のニーズと各市場の最新動向とプロモーション施策
  3. “想い”をどのように見せ、どう伝えているか インバウンドの取り込みに成功した行燈旅館の事例
  4. インバウンド客獲得のためのウェブメディア戦略
  5. 地域資源を活かしたインバウンドマーケティング戦略
  6. ハラル入門講座 〜イスラムのお客様の集客と対応の基礎知識〜
  7. 外国人観光客の消費実態と対策
  8. 飲食におけるインバウンドの取り組み
  9. パネルディスカッション 〜戦略的インバウンドへの取り組み実践〜

 

 

充実の2日間。そして、さすが社長!今回の旅行企画の内容を持参し、意見交換会の時に先生方に見ていただき、アドバイスをいただいてきてくれました。

「しかや(鹿屋)ってどこ!?」状態の先生からいただいたアドバイスはかなり厳しいものでしたが、安易に希望を持たせるよりは、現状に基づいた意見をくださったことに社長は感激し、更に食い下がり、いろいろと取り付けてきたことは、また後の話です。

さぁ。本当にまったく知られていられない「鹿屋市(かのやし)」「大隅半島(おおすみはんとう)」。
外国人留学生はそんな未開の地へ来てくれるのでしょうか!?

2016年5月 〜ただひたすら作り込む

社長が持ち帰ってきたインバウンドの知識をもとに旅行企画をさらに練り直し、広報の方法を考えたり、協力機関への依頼など奔走した1ヵ月でした。

2016年6月 〜企画名を Visit Osumi に決定!

ロゴマーク ポスター・チラシ ホームページ
Visitの「V」とOsumiの「O」字を重ねていたら、なんの偶然か「鳥」に見えたので目を付けました。
鳥は日本にやってきた外国人留学生。生まれ故郷で、大隅半島で見聞きした情報を伝えてほしいという思いと、大隅の地にとどまってくれればという思いを黄色い足に込めました。
緑色の模様は古代神聖幾何学模様の「フラワーオブライフ」をあしらっています。
鹿屋市の国際交流協会の協力をいただき、日本語版と英語版のポスターやチラシを作成しました。
ホームページのメイン画像には、鹿屋市からいただいた荒平天神の写真を使わせていただきました。

いろいろな訪日外国人向けのホームページを見たり、情報を調べながら、旅行企画の名称を単純ではありますが「Visit Osumi」としました。ロゴマークを作ったり、PR用のポスターやホームページの準備を整えて募集を開始しました。実はこの時点で、きっと最少催行人数の10名も満たさないだろうなと思っていました。しかし、予想に反する結果となったのです。

Visit Osumi旅行企画について



参加者のSNSより
 
目的 鹿屋大隅地域の観光資源(自然、店舗、商製品、飲食、宿泊、健康グッズ、特産物、体験型施設、スポーツ施設他)を、日本国内に住む留学生や研修生等の外国人に知ってもらい、訪れて見る価値のある地域であることをブログやフェィスブック等のソーシャルメディアを活用してアピールしてもらう。そして、出身国の人々に知ってもらうことで日本観光の訪問地としての選択肢に鹿屋大隅地域を位置づける動機づけ。
参加者への協力依頼 ・参加者が使っているSNSでの情報発信
・各企業が用意したアンケートへの回答
対象 日本に留学中の外国人学生・研修生
募集人数 20名
参加費用 0円(事業者が各自負担)
行程 こちらをご参照ください。
協力事業者(訪問順) ・株式会社桜開発
・小鹿酒造 株式会社
・有限会社大黒(かのや大黒グランドホテル)
・大衆酒場ハイカラ
・株式会社えいらく(榮樂寿司)
・垂水大豆館(有限会社木場商店)

2016年9月 〜驚きの結果!

6月から8月31日まで募集した結果。

なんと応募総数74名。関係者一同、驚きの人数です。

応募者74名 分析データ

県内か県外か   出身地 24ヵ国から応募がありました
 
中国 29
ベトナム 9
韓国 6
インドネシア 4
バングラディッシュ 3
ペルー 3
メキシコ 2
モンゴル 2
スペイン 1
イギリス 1
ナイジェリア 1
エジプト 1
ブラジル 1
ネパール 1
マレーシア 1
イラク 1
フィリピン 1
ブルキナファソ 1
ポーランド 1
ラトビア 1
ウガンダ 1
スロバキア 1
インド 1
ラオス 1

 

 

男女比率   年齢層
 

 

 

学校別   大隅半島を知っていますか?
 

 

 

鹿屋市を知っていますか?   一番楽しみな体験はどれですか?
 

この中から17項目にわたる同意書の内容を了承いただいき、参加者は15名になりました(内訳:福岡7名、熊本1名、鹿児島7名)。この時の応募者とのメールのやりとりの9割が英語でした。GoogleとYahooの翻訳サービスをフル活用して、半日はやり取りに費やしていました。

2016年10月 〜10月なのに台風がやってきた

 

関係者もおのおの準備し、いざ10月5日、6日に臨んだのですが・・・まさか、まさかの「台風18号」がその日にぶつかりそうではありませんか!鹿児島は台風を何度も経験し、痛い目にあってきています。ですから、安全 を第一に考え、旅行は延期することになりました。参加が決まっていた外国人留学生、一人、一人に電話し、延期の旨を伝えました。

その延期の日に都合がつかず、Visit Osumiに参加できない方もいました。ネパールの方は今年が最後の日本滞在でVisit Osumiに参加することをとても楽しみにしていたのに、今回の延期の日程と合わず、参加できなくなってしまい、とても悲しんでいたことを思い出すたびに心が痛みます。

しかし、この延期がのちのち功を奏することになるのです。

第2回へつづく。

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豆知識 〜気になる鹿児島のインバウンド情報

  観光庁の平成28年10月の観光客の動向調査データを基に、鹿児島県観光交流局観光課が出したデータです。

■訪日外国人延べ宿泊者数
平成27年 415,730人
平成26年 266,000人
前年比56.3%の増加

■外国人客の観光消費額(鹿児島県内で消費した金額)
平成27年 88,820円
平成26年 91,870円

■大隅半島への外国人延べ宿泊者数
出典:観光庁「宿泊旅行統計」を用いて県で推定
大隅半島(霧島除く)
平成27年 6,248人
平成26年 3,292人
前年比89.8%の増加

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