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2004/12/21 |
やさしい子守歌が、ほら聞こえてくる
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とんとんとん・・・とんとんとん・・・ いったい何の音だと思いますか?うさぎのお母さんが巣穴を土でふさぐ音なんです。巣穴の中には生まれたばかりの赤ちゃんうさぎがいます。お母さんうさぎは、かわいい赤ちゃんにおっぱいを飲ませると、巣穴をふさいで、再び森へ帰って行きます。 「とんとんとんのこもりうた」は、鹿児島県奄美大島と徳之島だけに生息するアマミノクロウサギの子育てを描いた絵本です。 アマミノクロウサギに魅せられ、その観察を続けてこられた写真家の浜田太さんが、ある時偶然、彼らの子育て用の巣穴に出くわしました。 何日か観察していると赤ちゃんうさぎのいる巣穴に、お母さんうさぎは2日おきにやって来ることがわかりました。授乳が終わると、お母さんうさぎは子どもを巣穴にもどして土で入口をふさぎます。たった5分の短い授乳のために、毎回、30分以上もかけてていねいに巣穴をふさぐのだそうです。浜田さんが撮影したビデオを見て、絵本作家のいもとようこさんはこう呟いたといいます。「穴の中の子どもが、寝るまでやっているんじゃないかしら・・・」 浜田さんといもとさん、いわば2人の協力で出来上がったのがこの絵本です。 《とんとんとん かわいいぼうや とんとんとん ゆっくりおやすみ・・・》 巣穴の中でひとりぼっちの赤ちゃんが、ぐっすり眠ってしまうまで、おかあさんうさぎは土を叩きます。とんとんとん − やさしい子守歌に安心して、赤ちゃんうさぎはすやすや夢の中。 心が芯から温められるような、とても穏やかで、情愛のこもった絵本です。幼いお子さんに読み聞かせるのにぴったりですし、長くしっとりとした冬の夜、独りページをめくるのもステキだと思います。豊かで繊細な、いもとさんの世界を味わってください。時を超えて生きるアマミノクロウサギ − 自然の驚異ともいえる彼らが、この本のおかげでとても身近なものに感じられます。 とんとんとん・・・子守歌が語りかけているのは、動物も人間もない自然界そのもののメッセージかもしれない。ふとそんな事を思いました。
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[南九州新聞 2004年12月16日] |
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