b-post > 地域情報「 差別偏見ない社会を −川辺哲哉氏が母校でハンセン病講話 根占中学校  」

2004/3/11

差別偏見ない社会を

川辺哲哉氏が母校でハンセン病講話

根占中学校

 平成15年3月18日、52年ぶりに社会復帰を果たし、鹿屋市内で暮らす元ハンセン病患者の川辺哲哉氏(81)が、母校である肝属郡根占町立根占中学校(長浜真一校長、208人)で、ハンセン病問題について講話を行った。
 同町川北城内出身の川辺氏は、昭和15年に同中学校の前身である神山尋常高等小学校高等科を卒業後、農林省や県庁に勤め、昭和29年に国立療養所星塚敬愛園に強制収容された。以後52年間同園で過ごした。
 川辺氏は病院や高校など130回を超える講演を行ってきたが、出身中学校での講話は初めてで、「ハンセン病問題の全面解決に向けて共に歩む会」(鹿屋市)の松下徳二代表(66)の呼びかけによって実現した。
 同校では、総合的な学習の時間に人権教育「ハンセン病を知る」をテーマとし、ビデオや資料による事前学習を実施、体育館で行われた講話会には1、2年生137人が出席した。
 「当時、敬愛園に収容されることは終身刑と同じ。園内では非人道的な行為の数々が行われていた」。
 川辺氏は、県や町がライ病の恐ろしさや隔離撲滅の必要性を町民に吹き込み、収容へ追い込まれた状況や、偽名の使用や死亡時の解剖請願書に判を押すことなど強いられたこと、結婚するには男性はテープカット(性器を切断)、女性は堕胎しなければならなかったなど、当時の様子を生々しく語った。
 「いずれ社会人となるみんなには、二度とこのような過ちが起こらないよう、このような法律ができないよう、差別や偏見のない社会を築いてほしい」と生徒へ語りかけた。
 松下代表は「川辺氏のように自分の母校で名前を出して証言することは、とても勇気のいる行為。それほど、何十年も前に植えついた「恐ろしい病気」のイメージが消えず、今でも偏見による差別が残っている」と『遠い昔』ではなく『現在』の問題であることを強調し、「周囲の噂や根拠のないものに惑わされず、自分自身で確かめて判断してほしい」と呼びかけた。
 生徒会長の久保下雄飛さん(14)は「生活する区域を職員、患者と分けて差別していたことを初めて知った。このような差別は今後絶対にしてはいけないと思った」と講話の感想を話した。
 川辺氏は、「今度は是非、敬愛園に遊びに行ってみてほしい」と生徒に言葉をかけ体育館を後にした。

 

[南九州新聞 2004年3月9日]
 

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