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26:2004/7

<平成16年税制改正の概要について>

T.はじめに
 平成16年度の税制改正大綱では、少子高齢化社会における年金、医療、介護等を抜本的に再築し、持続可能で国民が信頼できる社会保険制度を確立するために、住宅税制、土地税制、金融・証券税制、年金税制等の見直しが行われました。そこで、今回は暮らしに関係がある住宅税制と年金税制の改正概要を説明します。
U.税制改正の概要
1)住宅税制のポイント
(1) 住宅ローン減税
  1. 平成16年の入居者に係る減税額は、平成15年の入居者に係る減税額(最大減税額50万円×10年=500万円)を維持する。
  2. 平成17年以降平成20年までの入居者に係る減税額は、住宅ローンの年末残高の限度額、控除率を見直し段階的に縮減する(平成20年入居者の最大減税額は、160万円となる)。
(2) 特定の居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の繰越控除について、譲渡資産の要件中「譲渡資産に係る住宅ローンの残高がある」旨の要件を除外した上、その適用期限を3年延長する。
(3) 特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の創設

個人が、平成16年1月1日から平成18年12月31日までの間に、所有期間5年超の居住用の家屋又は土地等(譲渡資産)を譲渡(親族に対するものを除く)をした場合(譲渡契約締結日の前日において、当該譲渡資産に係る一定の住宅ローン残高がある場合に限る)において、その年に当該譲渡資産に係る譲渡損失の金額があるときは、一定の要件の下で、翌年以降3年以内の各年分(合計所得金額が3000万円以下である年分に限る)の総所得金額等からの繰越控除を認める。

−注−

  1. 「譲渡資産に係る譲渡損失の金額」とは、譲渡資産に係る譲渡所得の金額から計算上生じた損失の金額(当該譲渡資産に係る一定の住宅借入金等の金額から当該譲渡資産の譲渡の対価の額を控除した残額を限度とする)のうち、損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額をいう。
  2. この特例については、譲渡資産に係る譲渡損失の金額があるときは、当該譲渡資産の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年移行の小売腰を認める。
     また、純損失の繰越控除制度及び純損失の繰戻し還付制度の純損失の金額には、当該譲渡資産に係る譲渡損失の金額を含めないものとする。
(4) 特定の居住用財産の買換え・交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用期限を3年延長する。
(5) 給与所得者等が住宅資金の貸付等を受けた場合の経済的利益の非課税の特例の適用期限を2年延長する。
(6) 優良賃貸住宅等の割増償却制度について、対象となる賃貸住宅から都心共同住宅を除外するとともに、特例優良賃貸住宅の割増償却率を30%(耐用年数35年以上のものにあっては、40%)から21%(耐用年数35年以上のものにあっては、28%)に引き下げたうえ、その適用期限を2年延長する。
2)年金税制のポイント
(1) 公的年金等控除及び老年者控除について、次の見直しを行う。
  1. 公的年金等控除のうち、年齢65歳以上の者に対して上乗せされている措置を廃止する。
  2. 老年者控除を廃止する。
  3. 老年者特別加算として年齢65歳以上の者の公的年金等控除の最低補償額を50万円加算し、120万円とする特例措置を講ずる

※1〜3の改正は、平成17年分以後の所得税及び平成18年度分以後の個人住民税について適用。

(2) 公的年金等に係る源泉徴収
 上記(1)の改正に伴い、特例公的年金等に係る源泉徴収について、特定公的年金等の支払額からの控除等の見直しを行う。

※平成17年1月1日以降に支払うべき公的年金等について適用。

(3) 確定拠出年金制度
 確定年金拠出限度額について、次のとおり引き上げる。
  1. 企業型
     イ 他の企業年金がない場合 (現行)月額3.6万円 (改正案)月額4.6万円
     ロ 他の企業年金がある場合 (現行)月額1.8万円 (改正案)月額2.3万円
  2. 個人型
     ・  企業年金がない場合    (現行)月額1.5万円 (改正案)月額1.8万円

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