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25:2004/08

<定年後の生活資金である老齢年金について>

T.はじめに
  定年後のセカンドライフの資金として、一般的には、退職一時金、手元資金、そして、現在議論がなされている年金が考えられます。定年退職後も、生活資金がいる訳で、老後の生活設計の一部である年金改革がどのようになるのか?国民にとって気になるところです。そこで、今回は、現行の老齢年金がどうなっているのか?2004年の年金改革の骨子とあわせて見る事にします。
U.公的年金制度としての老齢年金

 公的年金制度(老齢年金、障害年金、遺族年金の制度がある)で、高齢になった時に支給される年金として、老齢基礎年金と老齢厚生年金(退職共済年金)とがあります。

(1) 老齢基礎年金

 国民年金制度は、日本国憲法の理念に基づき、健全な国民生活の維持及び向上を目的として定められた制度で、全国民が加入することになっていますから、要件さえ満たせば、誰でも老齢基礎年金をもらえます。即ち、国民は20才になったら、強制的に国民年金に加入させられ、60才まで年金保険料を納付する事になっています。従って、支給要件さえ満たせば、原則として65才からもらい始めて、生きている限りもらい続ける事が出来るのです。老齢基礎年金の 受給要件は、
  1. 65才以上である事
     
  2. 国民年金の保険料納付済期間(保険料免除期間等を含む)が25年以上ある事(国民年金制度発足当時、31才以上の者については、受給要件の25年を満たすことが出来ないため、受給資格期間の特例が設けられています)

の2つです。
 仮に、20才から60才までの40年間全てについて、年金保険料を納付済の人については、満額(平成15年度の場合、定額で797,000円、月額66,500円程度です)支給され、各人の支給額は、保険料納付済期間の月数に応じて、計算される事は言うまでもありません。 なお、2.の25年の要件を満たせない人(滞納期間が長い人等)については、任意加入(国民年金に任意加入して、年金受給権を獲得する)制度がありますが、誰でも出来る訳ではないので、留意しましょう。
 

(2) 老齢厚生年金

 国民年金から全国民共通の老齢基礎年金が、誰にでも支給されますが、これに上乗せする形で厚生年金保険から支給されるのが老齢厚生年金です。一般的に会社勤めのサラリーマンは、強制的に厚生年金保険に加入させられます(法人組織でない個人事業の従業員の場合、従業員が4人以下の企業は、任意加入ですから、老齢厚生年金を受けたい場合には、事業主の同意と都道府県知事の認可を得て、個人として単独で加入する事になります)。即ち、サラリーマンは、毎月の給料から、国民年金と厚生年金の両方の保険料が控除され、負担しているのです。従って、受給要件を満たせば、国民年金の老齢基礎年金にプラスして老齢厚生年金が死亡するまで支給されます。その老齢厚生年金の 受給要件は、
  1. 原則65才以上である事
     
  2. 老齢基礎年金の加入期間(25年)を満たしている事
     
  3. 厚生年金保険の被保険者期間が1ヵ月以上である事

の3つです。
 以上の要件を満たせば、厚生年金保険の被保険者であった全加入期間(加入月数)の標準報酬額(おおむね月例給与)を平均したものに応じて計算された金額が老齢基礎年金にプラスして支給される事になります。

V.2004年の年金改革の骨子
 現在、議論されている年金改革案の骨子は以下の通りです。
(1) 国民年金保険料(現行は月額13,300円)を2005年4月から毎年280円ずつ引き上げ、2017年度以降は月額16,900円を上限とする
 
(2) 厚生年金保険料(現行は年収の13.58%を労使折半)は2004年10月から毎年0.354%ずつ引き上げ、2017年以降は18.30%で固定
 
(3) 支給開始年齢を引き上げる(2025年度には65才以上に)
 
(4) 夫婦の厚生年金分割は、離婚等の場合のみ認める
 
(5) 在職老齢年金制度を見直し、一定以上の賃金を得ている70才以上の年金額を減額する(保険料徴収は見送る)
 
(6) パート労働者の厚生年金加入拡充は当面、見送る
 
 以上により、厚生年金モデル世帯の将来の給付水準は現役世代の平均手取り賃金の50.2%となり、また厚生年金では、年収約570万円の平均的なサラリーマンの場合、毎年約1万円ずつ負担が増え、国民年金は毎年3,360円、夫婦2人の場合は毎年6,720円の負担増となります。

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