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30:2004/7

 

<建設業者の新たな事業分野について>

T.はじめに
 建設業に限らず、多くの事業者がデフレ経済環境の基で、生き残り策を模索して新分野にチャレンジしているのが実情です。建設業者にとって、公共工事の予算をみながら、自社の経営計画を立てる時代は終わりました。建設業者は自立して生きる道をみずから切り開いて進出するチャレンジ精神が求められる時代になったと言えます。そこで今回は建設業者にとってどのような新しい進出分野が考えられるのか?関連分野を探って見たいと思います。
 
U.関連事業分野への進出
1)建築リフォーム事業
 国土交通省の予測では、リフォーム市場は、2010年に約30兆円の規模になるとされています。特に住宅については、少子高齢化の進展、経済の低迷環境への意識変化などからスクラップアンドビルドから長寿命化を図る方向へ変化しつつあり、短いサイクルで建て替えるよりも改修工事と設備リニューアルで長く使う事を選択する人が増えているようです。戸建て、集合住宅だけでなくオフィスビル、学校、庁舎などの既存建物の多くも改修期を向え、リフォームの潜在的な需要は高まってきていると言えます。

2)省エネルギー化事業
 この事業は(財)省エネルギーセンターの試算によれば、2010年には、約1400億円市場に成長すると予測されています。省エネルギー化事業とは、建物の省エネルギー化を促進するために、省エネ設備を導入し、初期投資は長期間の光熱費の削減で賄い、さらに利益をあげる事業をさします。事業者は省エネプランを建物の所有者に提案して、自らの負担で省エネ設備を建物に導入し、維持、補修し、料金を長期間にわたって回収します。地球環境への意識の高まりからエネルギーの効率的な利用が求められており、潜在市場規模は大きいとみられています。

3)土壌汚染の浄化事業
 不動産取引に伴う、土壌、地下水汚染のトラブルの発生に対処するため、不動産鑑定の基準に土壌汚染の地中評価が加わることになりました、さらに工場を廃止したり跡地を宅地等に転用する際に、土地所有者に地盤調査の義務と調査で汚染が見つかった場合に浄化対策をとる義務が土壌汚染防止法で課せられました。このような状況下において、地盤調査と地盤浄化のニーズの急増が見込まれます。建設会社の多くは水と土に関わる技術を保有しており、土壌浄化は、保有技術を生かすことができる分野と言えます。

4)リサイクル廃棄物処理事業
 地球資源に対する関心の高まりとリサイクルをめぐる法規制や税の創設の動きは、新しい市場を創設しています。廃木材、廃プラスチック、廃ペットボトル、廃ガラス、廃タイヤ等のリサイクル事業や産業廃棄物の処理事業等、本格的な技術開発や設備投資を伴うものから、余剰人員を使って簡単に始められるものまで、さまざまな進出の仕方があります。自社の強みを見極めて、事情に応じた対応を心掛けたいものです。
 
V.異種事業分野への進出
1)農業分野への進出
 荒畑を借り受け、この畑で農薬を使わずに有用微生物や堆肥を生かして農作物を作って販売する有機農業への参入や、畜産農家や漁協から牛糞や魚かすを調達して堆肥を作り地元農家に販売したり、水稲の種まきから水田の耕起、田植え、草刈り、作物の収穫作業等、いわゆる農作業の受託業務まで農業の働き手不足に着目した新事業分野への進出です。

2)介護、生活サービスへの進出
 在宅介護の少ない過疎地へのヘルパー派遣に的を絞った居宅介護サービス、介護される側の目線に立ったバリアフリー等のリフォーム事業、介護者の日常生活の介護をテーマにしたディサービス事業、訪問介護、訪問入浴等の生活支援事業等、過疎の地方ではこれらの事業のニーズは、少子高齢化に伴って、今後確実に増えていくと考えられます。

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