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13:2002/06


契約書の作成

1.表現について
 契約書に盛り込む内容やその方式(形式)は、原則として契約当事者が自由に決めることができる(契約自由の原則)が、契約書を作成する以上は、なるべくきちんとしたもの、契約書だけによって(他の資料を参照しなくても)契約内容がだれにでも一義的に明瞭なものである事が望ましい。そのためには、
  1. あいまいな表現をしないこと−用語を正しく使うこと。
  2. 明確でわかりやすいこと−前後矛盾しないようにすることはむろん、主語と述語の結びつき、文脈がはっきりしていること。
  3. 内容的に脱漏がないこと。

が大切である。

2.内容について
 契約書には、少なくとも以下の6要素を盛り込まなければならない。
  1. だれとだれが    [当事者]
  2. いつ        [契約日]
  3. なにを       [契約の目的物]
  4. どのようにして   [契約の要素]
  5. いつまでに     [期限]
  6. どうする      [契約の履行の態様]

 後は、違約に備える特約として、必要に応じ、

  1. 解除特約
  2. 損害賠償額の特約
  3. 裁判所の合意管轄規定

 などを定めればよい。
 上記1.の当事者の表示について、会社や団体の表示方法が不正確な契約書を見かけるので注意したい。契約の相手方が会社(団体)なのか個人なのか判断しにくいことがあるからである。(別紙参照)
 前期の4.から6.については、強行規定などに反しない範囲で、相手方との間において予想される事態を念頭において、なるべく自社に有利な内容を盛り込むよう努める。
 しかし、あらゆる事態を予想することは困難なので、完璧な契約書を作成する事は難しい作業である。条件つきその他複雑な内容の契約とか、強行法規や特別法に関する契約の場合は、総務部で起案できたとしても 、弁護士に見てもらうくらいの慎重さが必要である。
 契約は、相手方との交渉を経て成立するものであるから、どちらが交渉をリードするかによって契約内容が変わってくることがある。その意味で、どちらが契約書案を先に提案するかは、有利な内容の契約をするにあたって案外重要な ことである。契約書案の提示に後れをとってはならない。
 契約内容すなわち契約書の内容は、最終的に相手方との力関係で決まるものである。契約条項についてのぎりぎりのせめぎ合いの末、やむなく相手方の案を飲まざるえないこともあるが、これは、相手方との関係でどこまで妥協するかと言うことである。
 市販されている既成の契約書の使用は、なるべく避けたほうがよいが、もし、それらを使用する場合には、内容を逐一チェックし、適合しない部分、不必要な部分をもれなく削除し、不足している 事項を特約として加筆しなければならない。その結果、訂正箇所が多い場合は、急を要する場合以外、全体を作成しなおすべきである。

3.方式などについて
 契約の方式については、契約自由の原則の一つとしての、「方式決定の自由」から、縦書きでも横書きでも、連署式でも差入式でもよい。
 通常は、契約内容を表すのに最も適当な表題(例えば、○○契約書)をつけるが、「○○契約書」という表現をきらう当事者もいることから別の表示をすることもある。例えば、「念書」「覚書」「合意書」「確約書」などである。しかし 、契約は表題に関わりなく、内容で判断されるものであるから、このような表題でも効力的には何ら変わることはない。

 

4.契約書で会社が判断される
 契約書の存在が最も効果を発揮するのは、契約に関しトラブルが生じたときである。どのような契約内容か契約書によって判断されるからである。このとき、契約書は第三者の目にさらされる。ここにおいて、ずさんな契約書かきちんとした契約書かが評価され、契約書を通してその企業の姿勢なりレベルが評価される。
 世間的に有名な会社が案外ずさんな契約書を使用していることがあり、契約書から会社の内容がかいま見られることがあることを留意しておきたい。



各種法人の代表者と確認方法
法人名 代表者の肩書 確認方法
株 式 会 社 代表取締役 法人の登記簿


(謄本・抄本・
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