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10:2001/02


改正労働基準法のあらまし

 改正労働基準法が、平成11年4月1日より施行されています。なお、裁量労働制は、平成12年4月1日からの施行です。これらの改正は、社会経済情勢の急速な変化に伴って見直しされたもので、事業主としては就業規則などの改正が必要となります。改正事項の中のいくつかの重要ポイントは以下の通りです。
(1)時間外労働、休日労働(36条)
 時間外労働の長期化をさけるための基準が設けられる事になりました。また、これまで女性の時間外労働や休日労働に対しては、一定の規制が設けられていました。しかし、今度の改正でその規制が撤廃され、女性に対しても男性と同じように時間外労働や休日労働を命令できるようになりました。
(2)労働条件の明示(15条)
 従来、労働契約を終結する時には、賃金に関する事項のみの書面で明示すればよかったのが、加えて、次の事項も書面明示しなければならなくなりました。
@ 就業場所・従事すべき業務に関する事項
A 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに就業時転換に関する事項
B 退職に関する事項
C 労働契約の期間(有期労働契約の場合に限る)
(3)退職時の照明(22条)
 これまで労働者は退職時に使用者に対して
@ 使用期間
A 業務の種類
B その事業における地位及び賃金

についての証明を請求できましたが、さらに退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を明記)が追加されました。

(4)年次有給休暇(39条、72条)
 年次有給休暇は年間20日を限度に、勤続年数に応じて日数が加算されます。従来6ヶ月継続勤務後は1年ごとに2日加算されることになりました。
(5)就業規則の別規定
 今までの就業規則の内容で別規定にできるのは
@ 賃金
A 退職手当
B 安全衛生
C 災害補償
D 業務外の傷病扶助

に限られていました。
 今回の改正でその制限が廃止され、さまざまな事項を別規定とすることができるようになりました。ただし、届け出義務や周知義務などの各種義務については、この規定を含む就業規則全体となります。

(6)法令等の周知義務(106条)
 これまで事業主は社員に対して労働基準法などの法令および就業規則を周知させる義務がありました。今回の改正で労使協定、労働委員会の会議についても周知することが義務づけられました。
(7)1年単位変形労働時間性の要件緩和(32条の4、32条のその2)
@ 3ヶ月以上一年単位の変形労働時間について「1日9時間1週48時間」を超えないこととされていたのが「1日10時間1週52時間」以内であればよいとされるようになりました。
A 1年単位変形労働時間制の対象期間をとおして雇用されない中途採用者や対象期間中に退職を予定されている者についても適用できるようになった事等。
(8)裁量労働制の対象範囲を拡大(38条の4)
 一定の時間就労したと見なして賃金を支払うが、実際に働く時間は個人の裁量に任せる裁量労働制は従来専門的な11の職種に限って認められていたが、その対象業種が拡大され「企画、立案、調査、分析の業務を行い、業務遂行について使用者が具体的な指示をしない業務」にまで適用される事になった。
(9)紛争の解決の援助(105条の3)
 今までは紛争については、基本的に扱わず、労働基準法の法令違反の行為をただすのが、その職務内容でしたが、今後は労働紛争の解決に関して必要な、助言、指導などをする事ができるようになりました。

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