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06:2001/02


会社分割制度の概要

(1)会社分割とは

今回の商法改正による会社分割とは、会社の営業の全部または一部を構成する権利義務関係を他の会社に包括的に承継させる制度を言います。従来は、現物出資や営業譲渡により個々の資産移転を以って実質的な会社分割を行っていましたが、会社組織の再編成を行うための一つの選択肢としてより利用しやすい制度を法制化した点がポイントです。
(2)営業譲渡との違い
@営業譲渡が、譲渡対価としての資金を用意する必要があるのに対し、新たに創設された会社分割制度では、株主構成の移動によって権利義務関係を承継させるため、営業譲渡のように資金を用意する必要がない事。

A営業譲渡の場合、承継する債務等については、債権者の事前の承諾を得る必要があったが、今回の会社分割制度では、債権者の承諾を得ることなく分割計画書の記載に従って営業を承継する会社に移転することになるため効率的に債務を承継させることが可能となった。

B営業譲渡においては譲受会社から譲渡会社に営業資産の対価が支払われるため、譲渡会社に利益が生じますが会社分割においては、承継会社から新株が発行されることに伴う資本構成の変動によって資産等の移転が行われるため、譲渡会社に利益は生じません。

(3)会社分割の類型

1)新設分割を吸収分割

@新設分割とは、分割する会社が新たに会社を設立して、その会社に学業を承継させる場合をいい、複数の事業部門をもつ会社が各事業部を独立した会社とすることにより、経営の効率化を計るような場合に利用される手法です。

A吸収分割とは、既存のほかの会社が分割する会社の営業を承継する場合をいい、複数の子会社を持つ親会社が、それらの子会社で重複している事業を統合して、一つの子会社に集中させることにより、組織の再編成を行うような場合に利用される手法です。

2)人的分割と物的分割

@人的分割とは、営業を承継する会社が発行する株式を分割する会社の株主に割り当てる場合をいいます。人的分割は、営業譲渡の効果をより直接的に株主が享受する方法を新たに創設したものです。

A物的分割とは、会社分割を行う場合に営業を承継する会社が発行する株式を会社に割り当てる場合を物的分割といい、物的分割は、営業の現物出資等によって行われていた手続きを効率化したものと考えることができます。


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