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14:2003/1


経営事項審査対策のポイント

 現在施行されている建設業の経営事項審査は、平成11年の改正法に基づいて実施されています(現在、一部改正の方向で検討がなされています)。平成11年の改正で経営状況(Y)の見直しが行われましたがその主な改正点は以下の5点です。
  1. 4要素(収益性、流動性、健全性、生産性)のうち生産性が削除されました。
  2. 収益性が、従来の経常利益のみの評価から経常利益、営業利益及びキャッシュ・フローの3点から多角的に評価されることになりました。
  3. 新たに安定性の要素が加わり、生産性と入れ替わることになりました。安定性は、企業の借金依存度の程度を評価するものです。
  4. 流動性については、従来の流動資産及び流動負債の全体を検討する方法から、資金繰りの良否に直接影響する特定の項目を重点的に取り上げるように改められました。
  5. 4要素の寄与度が見直されました。
(改正前) (改正後)
収益性 30.1%   収益性 29.4%  
流動性 32.5%   流動性 15.6%  
生産性 9.1%   生産性 37.2%  
健全性 28.3%   健全性 17.8%  

(合計 100.0%)

 

(合計 100.0%)

 
(注)寄与度は、各指標、各要素のY全体の変化に与える影響度のことです。上記の数値は平均的水準の企業を想定しています。

以上より、以下のような企業はY評点がかなりダウンするものと思われます。

  1. 経常利益は良いが営業利益や当期利益の水準があまり良好でない。
  2. 減価償却や引当金の計上を僅かしか行なっていない。
  3. 預金と借入金が両ぶくらみになっている。
  4. 回収不能な完成工事未収入金や受取手形を多額に抱えている。
  5. 有利子負債が月商の6ヶ月分以上ある。
  6. 固定資産への投資が比較的多い。
  7. 受取手形をほとんど割引いている等々。

従って、1〜7の内容をまとめると、キャッシュフローの良くない企業は、大幅にY評点が下がるので1〜7の項目を念頭に置きながら、長期的な実践可能性を見きわめて、対応策を実施すべきです。 なお、平成14年度の主な改正点の内容は、X1(完成工事高)の平均点アップのための修正です。

 即ち、現在の経審の各審査項目は平均点がそれぞれ700点になるように制度設計されていますが、最近の建設業界の低迷に伴いX1(完成工事高)の平均点が下回っている。このために他の審査項目との整合性をとるため、平均点が700点になるように修正します。

具体的に 平成13年度の全建設業者の完成工事高を抽出・・・(イ)
        平成14年度の建設投資の減少見込み   6%・・・(ロ)

(イ)から(ロ)を減じて平成14年度の予想平均点を算出。
その予想平均点を700点に修正する。この修正に用いた係数を完成工事高の評点に掛け合わせます。

例 予想平均点が680点――――――――――――――@
   完成工事高5億円の場合 現在の評点 862点―――A

 862点×700点÷680点=884点となり22点アップすることになります。

 


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